奇跡 続

私が体験した2回目の奇跡

彼女もまた小児癌、しかも姉妹で同じ歳で小児癌を発症している

2人とも原発は卵巣

症状は2人とも同じ。腹部の膨張、発熱、猛烈な下腹の痛み

姉が癌になってからの2年後の出来事だった

彼女は近くの緊急病院で診察を受けた。たまたまそこにいた医師が癌専門医だった。すぐに大きい病院に行ったほうがいい。恐らく卵巣が悪さをしている。

彼女は次の日、母に連れられ姉と同じ病院に行った

診察してもらった先生は姉の癌細胞を手術してくれた外科の先生だった

その先生もびっくりしていた

まさか姉妹そろっての小児癌

すぐに姉の主治医に外科の先生が連絡をとった

妹さんが診察に見えてます

恐らく悪性腫瘍です

母は2年前の記憶をたどった

血液検査、エコー検査、MRI、点滴、すべて2年前と同じだった。目の前が一瞬にして真っ暗になった。

なんで?どうして?何をした?

主治医の先生に呼ばれた

告知はすぐだった

姉と一緒の小児癌です

恐らく抗がん剤治療になります

でもまず手術でどれだけうまく腫瘍がとれるか運命はそれにかかっていた

母は思った。また抗がん剤だ…

もう見たくないと思っていた光景をまた見るんだ…

カテーテルをつけるのか…消毒まだ覚えてるかな…

とにかく肺にも水が溜まっているものだから肺に転移も考えられると

息をするのも苦しそうだ

今度はいつまで戦えばいいのか

そういえば中学校の合唱祭があるな

彼女はピアノが得意で伴奏を控えていた

きっと弾く事はないだろと母は思った

手術の日、母は聞きたくなかった現実を聞かされた

カテーテルをつけました

そう、抗がん剤治療をするという現実

母はその時初めて涙を流した

しかし、姉と妹は大丈夫!絶対すぐ治る!そして絶対ピアノを弾く!

母は心の中でこの子達は何を言っているんだろう

現実はそんなに上手くはいかない

そう、奇跡でも起きないかぎり…

10月2日に病理検査の結果が出るのでその時治療を決めていきましょうと主治医は言った

そう、その日は母の誕生日だった

母は全身全霊を込めて祈った

もう何もいらないからあの子を助けて下さい

ピアノを弾かせて下さい

神様助けて下さい

何もかも信じるから

やれる事はやって不安を手放すからお願いします